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2011年3月20日日曜日

東北地方太平洋沖地震で噴出した『テレビ不要論』を見て思うこと。

東北地方太平洋沖地震により被災された方々に、心よりお見舞いを申しあげます。
亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


��月11日以降日本が大変になっていることに伴い、
テレビ各局も大幅な特別編成を組んだ。

だいぶ通常編成に戻ってきているが、
今回の報道放送に関し、『テレビ局』は大きく批判を受けている。

そして、今、『テレビ不要論』がツイッターなどで大きく盛り上がってきている。

ただ、今言われている『テレビ不要論』はおそらく、
「既存のテレビ局による放送(報道)」への不信感であることが入り口で、
電波を使ってコンテンツを流す、ということの不要論ではなく、
かつ、緊急時の報道というのものが、
ニコニコやUstなどの動画サイト、ツイッター、Facebookなどのソーシャルメディアの
有用性と対比された結果であるものという前提で考えてみたい。

前提として、数多くの人に同じ情報を伝える、ということに関して、
まだ、テレビのほうがコスト的にも、リソース的にも圧倒的に有利である、ということは、
おそらくそんなに異論がないことだと思う。

たとえばニコニコ動画で多くの人が同時視聴しているケース、
数十万人規模が最大であろう。

テレビは東京ローカルの番組で1%17万世帯程度。
なので、東京キー局のみの放送エリアで視聴率10%の番組は最低でも170万人(1世帯一人としても)の
人が見ている計算になる。
全国ネットだとおよそこの3倍前後になる。

おそらく今の動画サイトがこの基準の視聴数をさばくことは不可能ではないかと思われる。
ゆえにそれを論点にする人はいないでしょう。

また、災害時のインフラとしての電波は、たとえば東京だと東京タワー(来年からはスカイツリー)さえ
倒れなければかなりの多くの人が、手持ちの携帯でワンセグを見ることができる。
��もちろんタワーや局に電気が全く通っていなければ無理かもしれないが自家発電装置は各局にあるし、
おそらくタワーやツリーにもあるでしょう。)

携帯通信網(固定電話も)は今回の地震で東京ですらあの状況なので、
災害時(とくに直後)の一時ソースとしては脆弱。

停電になれば家からのネット接続ももちろん不可能。

ただ、これは放送と通信の優位性云々の話ではなく、
あくまでも仕組みの違いの話であり、元々役割が違うので、
本来は同じ土俵で論ずるものではない。

『テレビ不要論』が電波でコンテンツを流すことは不要じゃないですよね、という確認のため。


まず、なぜその不要論が持ち上がっているのかを推察する。

��、全局で同じような報道が連日続く(=各局の連携のなさ)ことによる重複による無駄
��、被害者の心情を考えない無神経な取材が起きていることによる、感情論
��、ニコニコやUstでの放送が情報ソースとして役に立っている
��、3同様ツイッターをはじめとするソーシャルメディアの情報伝播力の有効性の再認識
��、緊急時の節電対策
��、本当に必要な情報を流していないんじゃないかという不信感(節電の呼びかけとか)
��、東京電力というスポンサー企業の事故の扱い方についての不信感

ほかにあるかな。。。

まず、1に関して。

これは全く同感。

たとえばなにをきっかけにするか、民放連+NHKで決めるのか、
国(総務省)が言い出すのかは分からないが、大規模災害が起きた場合、
初動は各局が行うが、あるタイミングから、
全局の報道が一元化され、日本報道局になればいいと思う。

もちろん、報道の自由とか、多様性みたいなものが必要ないとは思わないが、
日本で起きる大規模災害に関して言えば国から電波を借りている以上、
これぐらいやってもいいのかなと思う。

たとえば、NHK、日テレは総合情報。
��BSは安否情報
フジテレビは避難所情報
テレビ朝日はその他周辺情報
テレビ東京は子供のためにアニメ(この場合、ドラえもんもサザエさんもまるちゃんも)

各局報道の記者は日本報道局局長の指揮下に入り、
どこかのチャンネル見れば自分の欲しい情報が手に入るという体制をとる。
��上記の中身についてはあくまでも『たとえば』です。こんなのも必要!とか突っ込むとこではない)

そして、安否情報を見ながらでも、
「これからNHKで首相会見を生中継します!」みたいなのが流れれば
かなり有用だと思う。

ただ、現実的にこれが実現するかと言うとほぼ不可能なんじゃないかと。
各局のプライドが邪魔をして。

でも、こんな時期「○○(放送局)の震災報道は秀逸だったよね」みたいなことにはならないし、
全局CMなしでやってるんだから、各局の社長が全員でやるっていえばできちゃう話でもある、たぶん。

きっと、こういう改革というか反省というか「国民みんなのためになるよう、テレビ業界変わります!」
て言う、「国(=国民)の電波(=財産)を借りて商売してるんで、これぐらいしないとダメでしたね」
という姿勢が見えないと、今回の『不要論』はおさまらない気もする。

これをやって損する人いないし。
やればいいのに、って本気で思う。

また、これは5局地区の理屈だろ、といわれても、
デジタル放送は画質はちょっと下がるけど、各局3番組を同時に流すことができる。
��MXはたまにやっている)
なので、日本中で全部見せることは可能。

��、に関して
これは感情論なので、人によってとり方が違うと思うけれど、
僕も見ていてさすがに「こんなことよく聞けるな」って思う放送を何回も見た。

かといって、主観の問題なので見たい人見たくない人がいるでしょうからしょうがない、
とも片づけづらい。

たとえば、
「家流されちゃってどんなお気持ちですか?」って質問。

テレビ見ている人は
「そんなの悲しくて困ってて残念で悔しいに決まってるじゃないか!聞くなよ、かわいそうに!!」
って思ってるんでしょう。僕もそう思う。

ただ、これを見て「義援金、支援物資送らなきゃ」って思う人がいるのも事実だと思う。

被災地の状況を伝えてそれがそれ以外の人を動かす、これも結果としては必要なんだろうと。

もちろん行き過ぎた報道(と呼べるかも怪しい)があったことは知っている。
言語道断で僕も腹立たしいし信じられない。

そこは今後改めないといけないと思うし、
各局きちんといろんな声を拾って自分たちのやってきたことを検証し、
悪いところはきちんと正し、同じ電波をつかって謝るべきだと思う。

これは最近のニュースがワイドショー化していることにももしかしたら原因の一端があるのかもしれない。
そのワイドショー化が買占めを増幅させたり、
危機感をあおっているところは否めないと思う。

センセーショナルだったり、お涙ちょうだいを誘おうとしたり、
これが不信感の根本にあるのかも。

専門家が平気だって言ってるのに、
わざわざ最悪のこととを言わせたがるキャスターとか。

そして3、
��と4は今回初めて起きた現象。
日本でインターネットのインフラが整備されて初めて起きた大災害。
そして、それを見事し活かした各IT企業の動きの素早さと寛容な対応。

僕もリアルタイムでそれを感じた。

ただ、動画に関してはメインは各局の放送を同時に流したってところで、
その映像を作っているのはテレビ局。
そして、通信のできない被災地では見ることができない。
という観点から見て、実はそんなにネット、テレビ云々という話じゃないのではないかと。。。

テレビが使えなくてネットでNHKを見てた人って
どれくらいいるのだろうか。
��テレビを元々持ってない人はのぞく)

このへんのことに関してはきっと落ち着いてから数字が出てくると思うので、
それから考えることにします。

ただ、ニコニコ独自の生放送は何度か見た。
セットとかなくても非常に内容の濃い放送もあったが、
基本的に国やマスコミに対してアンチ感漂う作りが多かった印象。

そういう人が多く出てくるのはもともとだし、そういうメディアだからそれはそれでいいんでしょう。

ここから世論が盛り上がって1の後押ししてくれると。

��、これが今回一番大きいと思う。

僕もずっとツイッターを見ていた。
堀江さんや浜崎あゆみさんをはじめとして、
数多くのフォロワーを集めている人が細かい情報も、
個人の安否確認も丁寧にRTしていて、
きっと数多くの安否が確認されたことだと思う。

これは素晴らしいこと。
これを機に親とかにツイッターを教える人も出てくるでしょう。

携帯各社が安否の掲示板を作ってもいるが、
自然発生的にできたツイッターのほうが可能性があったのかと思う。

携帯各社の掲示板、伝言ダイヤルは基本的に、
無事だった人が自ら登録、をすることによって
はじめて無事が確認される仕組みだったと思う。

でもツイッターは
たとえば、「四谷にすんでた細谷です、僕の母は無事か知ってる人いますか?」
という投げかけをすれば、
うちの母がツイッターなど知らなくても、
同じマンションのひとがそれを目にしてくれれば安否はわかる。

これはかなり重要。
きっとこんな感じで無事が確認されて人も多いのだろう。

ただ、これも実際に携帯各社の掲示板の利用者数、
ツイッターでの「本当の効果」は検証してみたい。
そこによりよい、安否確認システムの未来が見えると思う。

そして、今回の地震が東京で起きたら、
��通信インフラは生きていたとして)
きっと安否確認のツイートの量はさらにすさまじく、
サーバーは持ちこたえたのか、
多くのフォロワーが個人の善意でどこまで回すことができたのか。
数がおおければ多いほど埋もれてしまう確率は増えていく。

では、それの助けをテレビで何ができるのだろう。

たとえば今回でいえば第二日本テレビでは取材先で出会った人たちの
安否(ビデオメッセージみたいなもの)を動画で流している。
��BSにもあった。

でも、100に満たない。

これではたぶんそんなに意味は大きくない。

万単位の安否確認をどうやったらテレビ局ができるのか。

少なくともかなり多くの避難所には取材にいっている。
さっき話した重複がなければさらに多くの避難所に行けるのだろう。

では、それをどうやって活かすか。

たとえば衛星電話での動画配信システムを何十台も持って、
各地に取材に赴く。

それを各避難所に置いていき、配信。
別に電波使わなくてもいい。

で、各局の電波では
「ただいま特設サイトやニコニコ動画で○○地区の安否動画を受信中です」
みたいなことにすればいいのかな?
もちろん、アーカイブも置いておく。

それを可能な限り放送もする。(さっきの例で言うとTBSで)
ネットが見れない人も多いだろうから。
もちろん気合いで文字起しもする。
それは全局の字幕放送でも流す。

そうすると親御さんの安否の確認も取れないまま、
命がけで取材にいってる甲斐もあるってものでしょうか。

先ほど心ない取材をしている人のことを書きましたが、
志の高い使命感の強いスタッフのほうが圧倒的に多いと思います。
彼らはきっと取材しながら自分たちの無力感を感じていると思います。

テレビを入り口にという意味では長い会見をまんま見たい人にも、
「今から東京電力の快感始まります、ネットで配信しています」というアナウンスをして、
生で全部見たい人はネットで、終了後要点だけテレビで放送っていうのもありかと。

もちろんこれもマルチチャンネルでも対応可能。


��について。

基本的には各局同じような放送をしているところから来るものではないかと。
上記のように、みんなが本当に知りたい情報が、きちんと役割分担されて、
みんなに届くようになっていれば、言われないことかと思います。

必要不可欠な意味のある電力使用だと思ってもらえれば。
もちろん、全部がそれなりに(人によってばらつきはあると思いますが)
有用な情報だと思える放送ができれば、です。

ところで余談ですがいまどきの節電テレビと、パソコンでネットやってるのと、どっちが省エネなんでしょうか。

あと、セットでこうこうと明かりが、という点もあるかもしれません。
これに関しては、ただでさえ暗いニュースでスタジオも暗くっていうのはどうかと思いますが、
豪華なセットで電飾つけてっていうのはもちろん考え物です。
これはやめましょう。

��、
これも上記の役割分担ができれば解消されるんじゃないかと。
各局がそれぞれの放送をしていると、
時間配分もあり、それぞれが薄くなる懸念はあります。

あと、東京圏で大規模停電と言われていたこないだの木曜日、
僕ももっと節電を呼び掛ければいいのにって思いました。
ヤシマ作戦の盛り上がりっぷりをツイッターで体感した人は、
より一層思うでしょうね。

そして、必要以上の節電はいらないということも、きちんと伝えるべきでしょう。
50hz,60hzの変換の問題で西日本では節電の効果も限定的とか
供給量は急に減らせないから、深夜に無駄な我慢をするのはよくないとか。

��に関しては先日ツイッターにも書きましたが、
それはないと信じています。

報道と(スポンサーと向き合う)営業は独立しています。

報道は特に独立心(というのかな)が高く、
営業からの要請などを非常に嫌います。

また、15年テレビ局にいますが、
そんな話も聞いたことないです。

ほんとに営業要請で報道が曲げられることあれば報道の仲間と飲んだ時
一回ぐらい愚痴を聞くことはあるでしょう。
そんなの聞いたことない。

特にこんな大きな事件です。
そんな志低くないですよ。

ただ、そんな不信感が生まれるぐらい信じてもらえていない、ということには
向き合わないといけないと思いますが。



つらつらと書いていたらとても長くなってしまいました。

これから状況も変わっていくと思いますし、
またじっくりいろいろ考えて書いてみたいと思います。

今回の震災は、日本にとってもなにかのターニングポイントになると思います。
これをきっかけに、なんて言っちゃいけないのでしょうが、
せめて停滞し続けている日本が、一致団結して再び立ち上がるきっかけになることを期待します。

もちろん僕もその一端を担いたいです。

そして、それとは別に、テレビ業界も変わっていくきっかけにしないと思います。

ネットの普及でもともとテレビ衰退論が声高に叫ばれ、
しかし、危機感は多少あるものの成功体験から、
変わることができなかった我々が、
本当にテレビが求められているもの、
しなければいけないことに気がつくきっかけになればと思っています。

今回の震災で各局毎日数億円~数十億円の損失が出ているでしょう。
もちろん公共の電波をつかているので、当たり前ですが。
そして、危険な地域で連日取材を続けている仲間もいます。
これも、報道機関に身を置く者として当たり前です。

もちろん直すべきところはきちんと襟をただすために、
皆さんの意見は真摯に受けとめなくちゃいけない。

ただ、必要以上に叩かれるのはとても悲しいです。

私利私欲のために番組を作っている報道マン、テレビマンはいないと思います。

テレビなんていらないなんて、こんな時こそ言われてはいけないのです。
普段の娯楽は他にいろいろ楽しいものがありますが、
これだけの体制を敷いて取材をすることは一朝一夕にはできません。
それができるテレビ局が時代に遅れてしまった、なにかを忘れてしまったことで、
日本中のテレビマンが否定されるのなんて悲しすぎます。




最後になりますが、
僕はテレビ東京で働いていますが、
報道局に身を置いたことはありませんし、
もちろんテレビ東京やテレビ業界を代表する立場にもありません。

あくまでも15年間テレビ東京に勤務し、
そのうちここ10年以上はテレビとインターネットの真ん中で
仕事をしている一サラリーマンとしての私見です。

2 件のコメント:

大阪のアニメ好き さんのコメント...

総合情報、安否情報、避難情報を各局ごとに分ける
良いアイディアだと思うのですが、秋田県はTBSが映らない。青森県はフジテレビが映らない。宮城県はテレビ東京が映らない等、NHKと違って民放は系列局ない地域がありますからね・・・

細谷伸之 さんのコメント...

途中にも書いてあるのですが、
デジタルになってから、HD画質をSD画質に落とせば、
3つの番組を1局分の電波で流せるのです。
ですから、2局あれば6局分流せるのです。